学力と英会話能力③


豊中の塾マイルストーンズです.


前回の続き.


10連休明けですから,軽く本気出して,カタめの話題でガンガンいっちゃいますよ~,って謎のハイテンションです.


非日常言語である英語を使った会話を自然に行う前に,『慣れ親しんだ人との日常的な会話』と『良く知らない人との会話』の間を自由に行き来できるといいかも,というお話をしました.

同様に


勉強ができる子は『非日常的な概念・考え方・言語に対する抵抗が少ない』という特徴があります.


勉強は学年やレベルが上がるにしたがって、『日常性』から離れていきます.


たとえば


『学校の勉強は実際の生活には,ほとんど役に立たない』というフレーズがあります.


勉強の嫌いなコドモや勉強の嫌いだった元コドモであるオトナ,あるいは物わかりのいい、コドモの気持ちがよくわかるフリをしたがるオトナもよく使います.


『実際の生活にすぐ役立つ』『わかりやすくて誰にでもすぐ使える』知識なら,小学校レベルの『読み書き整数の四則計算』でOK,自然現象も人体も動植物の知識も不要,電気製品や自動車は操作できればそれでOK,物理化学いらない,外国に行かないし外国人とも話さないから英語もいらない,他府県にも出ない,なんなら選挙にも行かない,預金ができれば経済なんか知らんでええわ、というレベルならそれ以上の『勉強は役に立たない』でしょう.

『すんげー狭い世界』で生きるなら、それでもOKかもしれませんね.


 話は変わりますが.


以前,人間の成長は『空間と時間の拡大』である,というお話を何かの本で読みました.


 たとえば 


人は生まれたての頃は、まだ自力で移動できません.保育器の中が世界の全て.立てるようになり,歩けるようになっても,5歳くらいまでの子供が自分で移動できる距離はそれほど広くありません.

もう少し大きくなって、自転車に乗れるようになっても,ひとりで隣の市や県にいくことはあまりないでしょう.それが中学生くらいになると,自転車で隣の市や県に移動したり,電車に乗ったりするようになります.高校生になったら通学で電車を使う場合もあります.大学生あたりになると,飛行機に乗って海外に行ったりします.


こんな感じです.では


 時間の感覚はどうでしょう.乳幼児はほとんど『今』が全てです.老後の心配をする3歳児に出会ったことはまだありません.(いたら話を聞いてみたい)


小学校に通うようになって『この宿題は明日まで』などと考えはじめ、中学生になると『2週間後の定期テスト』が気になったり『来年の高校受験』に備えてプランを立てはじめたりします.(受験学年になってもノープラン,という生徒もいます.『先の事を予測して動く』ことをしません)そのうち自分のキャリア10年計画とか住宅ローン20年,みたいな世界に行くわけです.皆様お疲れ様です,がんばりましょうね. 


子供(ヒト)の成長・能力のレベルは『今・ここ』という身近な世界から,どれだけ早く時間的にも空間的にも『遠く』に行けるか、によって大きな差が生まれる,というお話です.


知識面,勉強も同じです.  


そのため,中学入試の国語の問題などでは,『昆虫の生態』や『治水の歴史』『倫理・哲学系』の文章をごく当たり前に出題します.小学生が『楽しく読める』『身近なテーマ』の文章は少ないです.イメージできないくらい『昔』であったり『遠い国』であったり『日常的でない』お話がガンガン出てきます.そういうお話についていけるか,その素養をチェックしているのではないかと思います.

  

昔,集団塾で教えていた時に上位クラスの担当をしていました.そのクラスの生徒は『既に知っている』話題に対してあまり大きく反応をすることはありませんでした.『自分になかった発想』『気づかなかった着眼点』のような『自分が知らなかったこと』に出会うと頭の上に巨大な『!』が浮かんだように目つきと姿勢が変わり(グワッという擬音をあてはめたくります)前のめりになって勢いよくメモを取りはじめます.


 中堅クラスでは,その逆の反応をする生徒もいます.応用・発展問題よりも『簡単にできること』『わかりやすいこと』『既に知っていること』『〇がつくこと』を反復するほうが安定する生徒です.そういう生徒に『知らない話』をすると、反応が薄く、続けると退屈そうにしはじめ、それでも続けると不安そうになり、最終的に苛立ったように見えました.


『自分が知らない話』『よくわからない話』『あまり身近でもなく,関心の薄い話』を延々と聞かされると飽きてしまい、退屈し、そのうち不機嫌になる大人も決して少なくありません.  


遅かりし由良助、ユイスマンス、パイソンコボルコンパイラ、ポリヌクレオチド鎖、ラングとパロール、彫刻室座、たほいや、ウィルコ・ジョンソン、ヨハネス・イ・デレーケ… 


今,ランダムに書き出した単語ですが,これらは当教室の若手スタッフ達(主に阪大生)との雑談でテーマになったものです.主に冗談なので,ゲラゲラ笑いながらですが,彼らはこういう言葉を使ったネタに対して『普通』に反応します.もちろんこれは,知っているからエライ,知らないからダメ,という話ではありません.彼らは『非日常言語』を自分から排除しないのです. 


・・・と、こういうことを書くと,『日常的な事はダメ』『知っていることはどうでもいい』『知らないことに興味を持てばそれがエライ』みたいなカン違いをさそうかもしれませんので一応補足を.


 優秀な生徒は、『日常的なこと』に対する関心も同様に深く,すでに知っている『基礎的なこと』の処理も正確です.むしろ『日常的な物事の処理』や『単純作業』がほぼ100%ノーミスで処理できるからこそ,『その先のこと』に余裕をもって関心を持てる,といったイメージですね.


 発展・応用・最高水準問題,などと表紙に書いてある教材が大好物で,基礎的な問題(計算練習や書き取りなど)を『レベルの低い単純作業』のように嫌がり,ケアレスミスを繰り返す人とは違います.上位クラスの中で伸び悩むタイプに多いんですが,これについてはまた別の機会に. 


話を元に戻します.


 どれだけ『遠く』に(時間的にも空間的にも知識面でも)そして『楽しく』飛べるか. 


最近,私が担当する国語の授業で,学校の教科書範囲外の文章を指導するとき、私は生徒にこのように宣言することが多いです. 『じゃ、飛ぼうか(笑)』 私は生徒を『日常から遠い世界を楽しんでもらうガイド』になります.もし,こんな帽子がどこかで手に入るならかぶって授業をしたいですね.


ついでなので,『遠くへ飛べる』生徒の特長を次回に.(このテーマは次で終わります) 

豊中市の塾 マイルストーンズ

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