予想問題を作らない理由

 豊中の塾マイルストーンズ です.

 前回の続き.今回は副教室長スミノ先生との対談形式です.


副教室長スミノ(以下ス):このテーマ,昔のブログと・・・ 

教室長ウリュウ(以下ウ):ネタ被りね.開校22年目ですから. 

ス:開校当初の入塾面談で,ウリュウ先生が『やらかした話』ですか? 

ウ:それ.お母様方がペアでお見えになってね,『学校の定期テストの予想問題を作って下さい』『定期テストの過去問は何年分ストックされてます?』って. 

ス:ありがちな展開.で,『やっちゃった』んですよね(笑). 

ウ:『作れますけど,それで,お子さんの点数が上がっても・・・』ってやんわり言ってみたんだけど,どうも反応が悪くて.『は?何言ってんの?』みたいな. 

ス:ああ,そのかみ合わない感じは・・・ 

ウ:『でも,そんなことしてもお子さんのアタマ,良くなりませんよね』って. 

ス:うわああああ(笑)!キッツイですわ~. 

ウ:私も若くて尖ってたから.でも30半ばのガキ顔した私に,そんな雑な言い方されたら腹立ちますよね.反省してます.若気の至りとは言え,申し訳ない.失礼しました. 

ス:今はウリュウ先生も丸くなってます,みなさんご安心を(笑).開校当初はね(遠い目)・・・生徒にもいましたよね,定期テストとか入試が近づいてきたら『予想問題を作って下さい』って言う子.『キミ,そんなんで点数とって(合格して)うれしいか?』って,真顔でウリュウ先生に言われて,固まってましたね(笑). 

ウ:昔は,その手のリクエストに対して,何の迷いもなく予想問題を作って『ズバリ的中!』とか,自分でアピールする塾とか予備校の講師がいたんですよ.今もいるかもしれないけど. 


生徒をホメたい 

ウ:仮に私が予想問題を作って,生徒が解くとしますよ.生徒がパターンを丸暗記するかもしれない.仮に予想が当たったとして,私はその生徒をどうホメればいいんでしょう. 

ス:『良く頑張ったね』って・・・それ,ちがいますよね. 

ウ:『オレが作った予想問題』を,よく頑張って憶えたね!とか?(笑)しいてホメるなら,予想を的中させた自分をホメなければならなくなるでしょ,筋として(笑).私は50過ぎのオジサンですが,冗談ならともかく,真剣に『自分で自分をホメる』ほど,モウロクしてませんし,ヤキも回ってませんって. 

ス:冗談ならやってますよね(笑).『うわああ,またオレの才能が!超絶に炸裂してもおたわあ!もお怖いよ自分が』とか1人で言ってます.ゴミ箱にシュートが決まった時とかね. 

ウ;保護者の皆様のお気持ちはよ~く分かってるんです.生徒に点数を取らせてやりたい.直接教えているんだし,当然,情だって移ります.授業料を頂いている,という職業上の責任感,結果に対する義務感も当然あります.だから,逆に『つい』予想をしたくなる.特に,私達を信頼して,一生懸命勉強している生徒を見ていると,予想問題を作ってでも,助けたくなる. 

ス:でも,しない.ですよね? 

ウ:ガマンしてるんですよこっちは.『それはやっちゃいけない』『でしゃばるな』って.本気で勉強している生徒に対して,『失礼』だから.そんな『生徒をナメた』こと,できるはずがない. 年齢に関係なく,本気の人には本気で向き合います.

ス:生徒が点数さえ取れるなら,どんな方法を使ってもいいわけではない.職業倫理みたいなものよね.2人のお母さまに,そう言えばよかったんじゃないですか? 

ウ:あ.…そうか,次はそうします,いや,できればもう,そういう話題は避けたい(笑)あとね,私は『勉強して,自分の力で点数を上げた生徒』をホメたいんです. 

ス:ウリュウ先生は,口先だけで生徒をホメることはしませんね. 

ウ:カンの鋭い生徒なら,見抜きます.イヤでしょ,生徒の実感が伴わない『リップサービス』は. 

ス:今の在籍生にも卒業生にも,ホメるどころか,こちらが思わず尊敬してしまうくらい,よく勉強する生徒はいますよね. 

ウ:ほんと偉いよね.自分が中高生の時にあれほど勉強を楽しんでたか,ってなると自信ないわ. 


手を放すタイミング

ス:塾の予想問題のおかげで手に入れた高得点より,『迷って,困って,塾に相談して,いろいろ試して考えて,質問して,類題を解いて,必要な事を覚えて,小テストを受けて,塾で自習して,先生と一緒に時間を過ごして,自分の力でゲットした高得点』のほうが,よほど生徒にとって価値がある,という考え方もありますからね.そんなのどうでもいい,『時間のムダ』って思う人もいるかもしれませんけど.

ウ:モノの考え方,問いの立て方,優先順位の決め方,そういった『単なる点数』以上の,『自分のやり方』が手に入るんですよ.これは勉強以外のことにも応用がきく.こんな大事なノウハウを生徒が自分でつかむチャンスを,大人のよけいな『おせっかい』で奪わないようにしています. 

ス:リードすること,ガイドすること,サポートすること,ってバランス感覚が難しいですよね,やりすぎるとホントに台無しになる. 

ウ:自立・独立も大事だけど,放置も最適解ではない.必要なサポート量と質を見極め,安定したらタイミングを見てスムーズに手を放す. 予想問題を与えるサポートは,『子供が周囲のアシストに気付かない』形で,『あなたがやったんだよ!すごいね!』って自信を持たせることにもなる.時には効果的なテクニックだけど,下手にシロウトさんがやり続けると… 

ス:本人が勘違いしますね.『他人の力で手にした結果を,自分の努力にすりかえて無邪気に喜ぶ』のも低学年くらいまでなら可愛いけど,どこかで気付かせないと. 周囲のアシストに気付けないで,ずーっと無邪気なままのオトナもいます.

 …と,ここまでの話は20年以上前から『マイルストーンズの常識レベル』のお話です.ブレてないですね.でも,学習塾としては,あまり一般的ではない『常識』なのかもしれませんね. 

ウ:だから時々,発信しておこうかと.長くなったので,テストの過去問のお話は次にしましょう.

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