聞く力と学力
豊中の塾マイルストーンズです.
前回の続き
ふりかえってみると,今まで送り出した生徒の中で『遠くへ飛べた』=『成績が伸びた』『偏差値の高い学校に進んだ』生徒のほとんどが,私を含む講師の『話を聞く』ことが大好きだったように思います.
大学に入学しても,社会人になっても,部下を持つような年になっても,親になっても,時々,私達の『話』を聞きに来てくれます.ありがたいことです.
授業中, 私は生徒に冗談を言います.生徒の言語能力をさぐるためです.やはり成績の良い生徒は『観念的なネタ』にも反応が良く,抽象度を上げてもついてきます.『言葉遊び』を楽しめるんですね.とことん『具体的』な話にしか反応しない生徒もいます.わかりやすい笑い,関西人の言うところの『ベタ』な話になら反応します. こういう反応って,けっこう授業の解説レベルに対する反応に比例するんです.
最近『話を聞く』ことを苦手とする生徒が増えたように思います. 聞きたくても『聞けない』生徒も増えています.そういう生徒は30分2本立てのアニメ1話分くらいが集中の限界だろうな,という目安で話しています.最大15分. ここに基本のエッセンスを効率よくまとめます.『応用・発展』に関する例外パターンの解説は含めません.
情報量が一定を超えると『聞き落とし』が始まるからです. 教えていると何となくわかるんです.『目が少しウツロになる』『こちらの言葉に対する反応が薄くなる』『書く速度が落ちる』『書き落としが出る』新しい情報があふれて基礎が不安定になると成績が大きく下がるリスクが高くなります.それをさけるために『応用・発展』はとりあえず教えない,という授業の構成になります.標準的な学力の中学生だとこれでテストの平均点は65くらい.気が強くて丸暗記しちゃうタイプの生徒(義務教育レベルはもちろん,一部の高校でも『丸暗記対応』で高得点をとってしまう生徒はいます)なら平均80くらいまでなら何とかいけちゃいます.
長いフレーズ・複雑な構成の話を聞く力(読む力)が弱いにもかかわらず,高得点を取ろうとする生徒は『テクニックの運用』に走りたがります.英語や国語などの『長文を全部読まずに正解を出す方法』みたいなのが好きなんですが,こういう生徒は上位校の中にもまぎれこんでいて,東大とか京大にもこういう人がいます.
基本的に子供は『おはなし』が好きなはずです(でした?).『おはなし』は情報です.これからどのように行動すれば『良い』のかどういう行動が『悪い』のか.小学生くらいなら『いい子』でいたい.『悪い子』と思われたくない,という意識はあるはずです. 前回の記事でも触れましたが『これから』自分はどのようにふるまっていくのが正しいのかを考えたこともない,という生徒もいます.基本的に『今,この場』が楽しければOKな生徒です.今後の自分のふるまい方に役立つ可能性がある情報かどうかなど『考えたことがないからどうでもいい』ので,サンプルデータは不要.そういう生徒は『話をきく』力が弱いようです.
本来,わずか十数年しか生きていない子供が成長を意識するなら,大量の『サンプルデータ』が必要なはずです.『情報に対する飢え』を持つ子供は,熱心に『話』を聞きたがります.昔はそのタイミングで『本を読む』というステップに進んでいました.(というか,情報源はそれしかなかった)現在は『インターネット』がありますが,日本語で書かれたものは質の低い情報が多いので,(あ,今,なんかすごいこと書いちゃったな)これを子供に与えすぎるのはおすすめしません. テレビやDVDやネット動画,YOUTUBEに子守りをされた子は,映像授業になじみやすいのかもしれません.これから世の中がどうなるかわかりませんが,やはりまだしばらくは『生身の人間』との会話はなくならないでしょう.『ライブ』の会話は重視しておいてもいいかと思います.
よくお母様方からご相談を受ける『読解力』ですが,書かれたことを正確に読み取る力は,『他人の話をよく聞く』能力と直結しています. 読解力の高い生徒は,『お話』が好きです.読むのも聞くのも好きで,自分の知らない言葉に対する反応もいい. そういう『知らない言葉』や『それまで考えた事のない思考のルート』といった情報を数多くストックしたがる子は,それらを組み合わせて『ネットワーク』を構築し始めます.
これも近年よく耳にする言葉ですが『自分の頭で考える』というのは、この『ネットワーク』を独自に構築し,拡大していくことです.このネットワークを拡大していくプロセスの中で,自分独自の『意見』が生まれ,他人の言葉に『反応してコメントする』ことができるようになります.
こんなふうに『差』が開いていくんですね.
ふむ.
『聞き上手の生徒』と『聞くのが苦手な生徒』の具体的な授業構成の話を書きたくなってきました.
でもこれはまた別の機会ですね. こういう話ならいくらでも書けるのですが,今日はこのへんで.
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