中3に仮定法②

 豊中の塾 マイルストーンズです. 

 前回の続きです. 


『早く教える』デメリット 

副教室長スミノ(以下ス):ウチは中学生に高校内容を教える事には慎重ですよね. 

教室長ウリュウ(以下ウ):先の事を考えるとね.仮定法も,やるなら全部『ガッツリ』教えたい. 

ス:英検2級対応で『浅くサラッと教える』ことのデメリットは? 

ウ:サラッと流すと『テストに出そうなパターンだけ適当に覚えて終わり』になりがちなんですよ.で,テストが終わると抜けやすい.『覚えるだけ』だと『忘れる』のも早い. 前のブログで触れた,『暗記型』⇒『思考型』の方針に逆行してしまっている. 

ス:英検2級の問題は解けても,『パターン暗記型』だと応用がききにくいですね. 


 ウ:センター試験の時代から『長文読解の問題は解けるけど,長文の内容を理解していない』受験生,いましたよ.そういうアプローチは上位校を目指す生徒にとって後々,いい影響はないでしょう.入試でも検定試験でも,合格する『だけ』が目的になると,そういう方針になりがちです.学校でも『長文は全文読むな,設問を先に読んで,正解に該当する部分だけを読め』みたいなテクニックを教えている場合がありますけどね. 

ス:全部読むな,って,よく考えると指導としては… 

ウ:人の話は全部聞くな,適当に聞き流してポイントだけ押さえろ,みたいな話ですから.

ス:長期的に見るとマイナス,ということですね. 

ウ:『テストの時だけ解ければOK. 後は,できなくなってもいい』『内容なんか分かってなくても答が出ればいい』むしろそっちの方がクール,みたいなね.

 ス:そういう生徒が増えると困っちゃいますね. 


 ウ:早期に『浅くサラッと』流して教えると,変な『ノイズ』が入る生徒もいるんです. 

ス:浅く勉強して,わかったつもりになっちゃう,っていう.あれも困りますね. 

ウ:ホント困る(苦笑).新しい単元を導入する時は『まっさら』な状態の方がいい生徒もいるんです,というか,変に予備知識があるとジャマになる生徒の方が多い.総じて早いタイミングで勉強『してしまった』生徒の方が入りが悪かったりする.まあこれも経験からくる印象ですけど.生徒が『それ,もう知ってる』状態から入ると興味が持続しなかったり,問題の処理が雑になったりします. 

ス:『初めて習う緊張感と興味』のある状態のほうが定着しやすいですね. 


『早く教える』条件 

ウ:もちろん『早く教える』事を全否定する気はなくて.中学生に高校内容を教えてもいいんです.『全部,消化できる生徒』ならOK. 

ス:でも,そういう生徒って少ないですよ. 

ウ:少ないね.だから当教室では『先取り』をしますが,せいぜい1学期分まで.それくらいの『早さ』なら,標準的な学力の生徒も教えた内容の『キープ』が可能です.ある程度は抜けますけど,そこも見越して先取り学習をしてもらいます. 

ス:それ以上先に行くと,復習してあげないといけなくなりますね. 

ウ:そう.前も話したと思うけど,過去に学校が設定していた『カリキュラム』って,結構よくできているんです.生徒の平均的な理解度や消化量・スピードに合わせて無理なく進めるようにしてある.もちろん個人差があるので,『速く進んでもOKな子』にとっては,基礎的なことをダラダラやってるように感じるかもしれないけど.『飛び級レベルの早期学習』に向いている生徒は,だいたい私立中の上位校にいます.そういうところにいる方が幸せな子もいるんです. 

 ス:私も小学生に中高校生の内容を教えることがありますけど,1年以上教えてみて,カリキュラムを超えても大丈夫か,見極めてからにしています. 

ウ:『早期』『先行』『発展』が好きな生徒や保護者様もいらっしゃって,とにかく先に先に,っておっしゃるんですが,合わないのに無理すると,高確率で消化不良を起こします. 

ス:教えたことが抜けていきますね.『半年前~数年前に教えた内容が抜けない』のは,先行型指導を受ける生徒の条件ですね. 

ウ:ガンガン先行してもいいタイプの生徒の定着率は85%以上.人間だから忘れる・抜けることはあるけど,それも15%くらいまで.それなら復習に時間もかからない.30%以上抜けるタイプは別枠で復習の時間がいる.それでは先行して学習するメリットがない.平均的な成績の子のほとんどは,30%程度,抜けます. 

ス:そういうタイプは『ガンガン先行』には向かないですね. 

 

『天才型』へのあこがれ? 

 ウ:あえて雑な表現をしますけど,『小学生なのに中学内容の問題を解いてる』とか『中学生なのに高校内容を勉強してる』とか『発展・応用・ハイレベル』問題集をやってる、とか,そういうのに漠然とあこがれてしまう人がいるんです.生徒にも、保護者様にも. 

ス:先のことをやってる/発展(問題)をやってる.特進クラスにいる.なんとなく、そういうのが『レベルの高い,良い指導』に感じられる,というお気持ちは分かります. 

ウ:そちらに価値を置きすぎてしまうと『基礎』とか『ゆっくり』とか『丁寧に』とか『教科書レベル』『学校内容』を軽視,ハッキリ言っちゃうと『ちょっと下』に見てしまうんですね. 

ス:でも,そういう生徒に『基礎レベル』の処理をさせると,ミスがぽろぽろと… 

ウ:定着のスピードや量・問題の難易度・正確に処理できる限界量・スピードには個人差があって,そこに『良い・悪い』『上・下』はないんです.あるのは,その生徒個人に適した量とペース. 

ス:そういうのを個性って言うんですよ.アルコールに強い人と弱い人がいるのに似ていますね.『弱い人』もトレーニングである程度『強く』なりますが,限度はあります.お酒に弱い人が強い人にあこがれて無理して飲んだっていいことないです. 

ウ:私,お酒弱いですけど,無理しませんよ.すぐに寝ちゃう(笑).


 大切なのは… 

ウ:昔,フードファイター,っていうのがあったでしょ. 

ス:大食い・早食いの人ですね. 

ウ:消化吸収能力が標準レベル以上なんでしょうね.『標準』の私たちがやると,体をこわします.

ス:勉強の『フードファイター』っているんですよね. 

ウ:『中学受験専門塾の偏差値70越え』の中学校に合格した人はそっち系.速く大量に勉強しても耐えられるんですよ.全部消化しちゃう.その中のトップの人たちは耐えると言うより,楽しんでる(笑). 

ス:他の生徒は,トップクラスの『消化能力』を持っている子に追いつくのが大変そう.


ウ:色々言いましたけど,『発展・応用・ハイレベル・難関・最高水準』みたいな接頭語がついた問題集,これはココにもたくさんあります(笑).でも『早く/速く学習する』ことも含めて,実はそういう『わかりやすいハイレベル』って,たいして重要じゃなくて. 

 いちばん大切なのは,レベルに関わらず『過去に学んだ問題の解法を,いつでも再現できる』こと. 

 ス:身につける,という表現がありますけど,そういうことですよね.合格したり,テストで高得点を取った後に,知識が抜けずに体の一部になるように指導をしています.   


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